子供の「眠れない」を放置すると不登校や成長の妨げを招く
「ADHDでは5割、ASDでは5~8割に睡眠障害がみられるとの報告があります。理由ははっきりと分かっていませんが、脳内の神経機能の低下が睡眠障害を引き起こしているのではないかと考えられています」
睡眠障害では子供にしろ大人にしろ、まず「睡眠衛生指導」が行われる。要は睡眠の質を高めるための行動を意識付けることで、前述のように「早寝早起き」「朝、太陽光を浴びる」「規則正しい食生活」など。
ただし、これだけでは不十分なケースが少なくない。検討されるのが、脳の松果体という部分から分泌されるホルモン「メラトニン」の使用だ。
「神経発達症の子供ではメラトニンが体内時計の乱れを改善し、入眠潜時(入床から入眠までの時間)を短縮すると分かっています」
■初の子供向けメラトニンが承認
しかし日本ではこれまでメラトニンは薬として承認されておらず、試薬やサプリメントの個人輸入で用いるか、2010年に大人の睡眠障害に承認されたメラトニン受容体作動薬ラメルテオンを、使用量を少なくして子供に用いるかだった。