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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

コロナ禍で急増中…警察と厚労省では自殺者数が異なる

公開日: 更新日:

 ところで以前、交通事故の死者数は警察庁と厚労省(人口動態統計)で異なるという話をした。実は自殺者数も異なっている。2019年の数字をあげると、次のようになっている。

●警察庁 2万169人
●厚労省 1万9425人

 理由は統計の取り方が違うからだ。厚労省は、医師の死亡診断書に基づいて集計している。だが遺体発見時には、自殺か他殺か事故か、医師にも分からない場合がある。そんな時には「死因不明」として報告する決まりになっている。しかし最初は死因不明でも、捜査の結果、自殺と判明することもある。その場合、警察側は、発見日に遡って自殺として集計する。冒頭に書いたように、数字がよく変わるのはそうした理由による。

 厚労省のほうも、医師から死因訂正の申請があれば、自殺に切り替える。ただし家族などからの申し出がない限り、面倒な手続きを自分からやろうという医師は少ない。

 また在留外国人の自殺を計上するかどうかの違いもある。警察の数字には、外国人の自殺者も含まれている。厚労省の数字は、日本国籍を有するものに限られている。とはいえ外国人の自殺者は少ない。上記の警察庁と厚労省の数字には、744人の差があるが、そのうち外国人は224人だった。残りの520人は、警察の捜査で自殺と判明したが、人口動態上は死因不明のままになっている日本人、ということになる。家族がいない独居老人やホームレスなどが、多く含まれているのかもしれない。

 ちなみに生命保険では、免責期間(通常は2~3年)内の自殺は保障の対象にならない(保険金が下りない)。だったら受取人としては、死因不明のままにしておいたほうが得と思うかもしれないが、保険会社は警察に確認を取る。余計なことは考えても仕方がないだろう。

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