著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

コロナ禍の影響は? 1カ月のがん手術延期で100人中1人が死亡

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が止まりません。軽症者の多いこの病気ですが、入院患者が増えて医療が逼迫すると、いろいろな影響が出てくる可能性があります。

 病院で院内感染が起こると、病棟を閉鎖したり、スタッフが休んだりしないといけなくなって、予定されていた外科手術なども中止や延期になってしまいます。

 実際に今年の夏に腎臓がんの手術を予定されていたクリニックの患者さんは、病院で院内感染が起こったために2カ月の手術延期となってしまいました。その患者さんのがんはそれほど悪性度の高いものではなく、転移などもなかったので大きな問題にはなりませんでしたが、もし進行の速いものであったら、手術が延期されることで、取り返しのつかない結果になってしまう可能性もあります。

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、こうした問題を解析した論文が掲載されました。これまでの臨床データをまとめて解析したところ、多くのがんにおいて、当初の予定より手術が1カ月延期されると、患者さんの死亡リスクが増加することが確認されました。たとえば悪性度の高い乳がんでは、1カ月の延期により100人に1人がそのために死亡する、と計算されたのです。

 新型コロナウイルス感染症の怖さは、こうした意外なところにも潜んでいるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…