筋肉<上>高齢でも間に合う 「インターバル速歩」で寝たきりを回避
「下半身の筋肉の衰えは身体活動量の低下だけでなく、生活習慣病も招くという説が世界のスポーツ医学界の潮流になりつつあります。加齢や運動不足で筋肉の量が減ると、筋肉の中にも存在している『ミトコンドリア』が衰え、それが原因となって体の中で炎症を引き起こす『炎症性サイトカイン』という物質が分泌されるからです」
ミトコンドリアとは、体のすべての細胞内に100~2000個程度存在するカプセル状の小器官。食事から摂取した栄養と呼吸から得られた酸素を使って、体を動かすエネルギー(ATP)を作っている。年齢が増すごとに体力が落ちるのは、ミトコンドリアが減り、衰えて活性酸素を出し始めるから。
さらに最近の研究では、ミトコンドリアが衰えることで炎症性サイトカインが分泌され、それが免疫細胞で炎症を起こせば高血圧に、脂肪細胞で炎症を起こせば糖尿病に、脳細胞で炎症を起こせばうつ病や認知症になるという考え方が示されている。
しかし、ミトコンドリアは何歳からでも増強することが可能。ウオーキングや自転車こぎなどの有酸素運動の合間に、きつめの運動を挟むと体がエネルギー不足を感知して、慌ててミトコンドリアを増やすという。このように下半身の筋肉量を増やし、ミトコンドリアを活性化することは体力を維持するだけでなく、さまざまな病気の予防になるのだ。