著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

紅蘭さんは今年も2つ…ポリープの対処法は大腸と胃で異なる

公開日: 更新日:

 ただ、遺伝性が明らかなのは家族性大腸腺腫症とリンチ症候群で、若くして発症するのが特徴です。リンチ症候群は、大腸がんだけでなく、小腸がん、卵巣がん、子宮がんなども合併することもあります。

 1センチのがんやポリープが2センチになるには1~2年かかるので、毎年の検査を継続することが大切です。一部の大腸がんは、正常な粘膜から腺腫を経ずに、直接腫瘍になることもまれにありますから。

 日本の大腸がん検診は毎年2回の検便が一般的です。簡単な検査で、進行大腸がんの90%以上、早期大腸がんの5割、腺腫などのポリープの3割を発見できます。意外と侮れません。

 米国はもっと踏み込んでいて、大腸全体を内視鏡で診る「全大腸内視鏡検査」です。がんそのものの早期発見のほか、腺腫を見つけて切除できるため、大腸がんの発症を抑えます。

 10年に1度の検査間隔で、2016年の報告では50歳と75歳で過去10年に検査を受けた人の割合は6割と高い。その結果、大腸がんの死亡率は過去40年で半減。日本の人口は米国の4割以下ですが、18年の日本の死亡数は5万3500人で、米国の予測値5万630人を上回っています。米国の予防医学が勝利した一例でしょう。

 胃のポリープで多くを占めるのは、胃底腺ポリープで、ピロリ菌感染のない健康な胃にできるもの。胃がんにならないサインとさえいわれ、私もあります。恐れることはありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド