注射は不要?鼻からスプレーするワクチンは効果があるのか
新型コロナウイルスのワクチンは筋肉注射となっているが、別の接種の方法も検討されているようだ。
昨年の秋、米国の製薬会社「バクサート」が、口から飲む経口ワクチンの治験を開始した。今年1月には、英ランカスター大と米テキサス・バイオメディカル・リサーチ研究所の研究グループが、「注射ではなく鼻からスプレーするタイプのワクチンが有効である可能性が前臨床試験で明らかになった」と発表している。
【Q】注射以外の接種方法は有効か
【A】すでに米国ではインフルエンザのワクチンで鼻に噴射する「経鼻ワクチン」が広く使われている。日本でも2019年に国産初の経鼻ワクチンを申請。実用化に向けて開発中だ。新型コロナウイルスのワクチンでも注射以外の研究は進んでいる。
「経鼻ワクチンは痛みがなく、副作用もほぼ認められない点で優れています。私もインフルエンザで研究をし確認しています。新型コロナウイルスのワクチンに関しても、世界中で研究が進んでいます。普及すれば注射が苦手な方にもワクチンを接種してもらえますし、1回の投与量も多いので、注射のように時間をおいて2回に分けて接種する必要もなく、経済的です。また、カナダのメディカゴ社が開発する植物由来の『VLPワクチン』に期待しています。ウイルスそのものは使わず、菜っ葉やピーマン、トマトなどの野菜を精製し、ウイルスの表面に出ている突起の『スパイクタンパク質』を人工的に合成して人体に投与することで、ウイルス抗体が体内でつくられるというもので、大量生産化しつつあります。年内にも米国とカナダで承認申請される可能性が出てきたといわれています。こちらも植物由来で副作用はありません」