コロナ「第5波」医療現場の最前線「効果的な治療が確立されるも入院できず」
■ワクチン接種が身を守る大前提
こうした効果的な治療が確立したことで、入院患者のほぼ全員が入院から7日ほどで後遺症なく退院して自宅に帰れるようになった。
「しかし、現在は症状がかなり悪化した状態でなければ入院できず、治療の開始も遅れてしまう。そのため体内からウイルスが消失しても、全身状態が回復して通常の生活に戻れるようになるまで時間がかかります。入院期間も10日ほどまで延びている状況です」
入院さえできれば効果的な治療が行われ、短期間で日常生活を取り戻せるケースが増えたのだが、デルタ株による感染拡大と病床不足によって、治療の恩恵を最大限受けられない患者が多い状況なのだ。
また、入院できない自宅待機者が増えたことで、治療を受けられないまま急変して死亡する人が増える可能性もある。そんな状況下で身を守るための大前提がワクチン接種だという。
「8月19日現在、江戸川区でハイリスクとしてリストアップされている135人のうち134人はワクチン未接種者で、平均年齢は40代後半です。1人はワクチン接種を2回終えている65歳以上の高齢者ですが、人工透析を受けていて軽い発熱があるとのことでハイリスクと判断されました。つまり、ワクチン接種を終えている健常な高齢者は、リスクの高い発症を抑えられていると考えられます」
効果的な治療を受けられない可能性も考慮して、対策を万全にしておきたい。