新型コロナによる生命の損失は世界31カ国・地域で2800万年超
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、人々の健康状態に甚大な影響を与えました。米国では、2020年の主要死因ランキングで、新型コロナウイルス感染症が3位となり、戦後はじめて国民の平均寿命が低下しました。
米国以外の国や地域でも、同様の影響が想定されますが、これまで平均余命の変化について検討された質の高い研究データは限られていました。そんな中、新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界各国の平均余命にどのような影響がもたらされたのかを検討した研究論文が、英国医師会誌の電子版に2021年11月3日付で掲載されました。
この研究は、死亡率に関して信頼性の高いデータを入手できた37の国や地域(日本を含まず)を対象に、新型コロナウイルスのパンデミックによって失われた平均余命の年数を解析しています。失われた平均余命は、新型コロナウイルスのパンデミックが起こらなかった場合の平均余命の推定値から、2020年における平均余命を差し引くことで算出されました。
解析の結果、平均余命の低下が認められたのは31の国や地域でした。失われた平均余命はロシアが最も多く2.32年、次いで米国が1.98年となっています。一方で韓国、デンマーク、アイスランドでは平均余命の短縮は認められず、ニュージーランド、ノルウェー、台湾では平均余命が上昇していました。