LOUDNESSドラマー鈴木政行さん 脳梗塞から奇跡の復帰を語る

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 でも、先生はとても不思議がっていました。僕の血液がサラサラだったからです。じつは僕、1歳から12歳まで肺が悪くて入退院を繰り返していたため、体には気を使っていました。激しいドラムを叩くので筋トレもするし、お酒もツアー中やレコーディング中はほとんど飲みません。

 脳梗塞の原因がわかったのは退院する頃です。詰まっていたのは「胸腺のかけら」と言われました。胸腺は胸骨の裏にある免疫系の器官で、生まれたときはみんな持っているけれど大人になるにつれてなくなるものだそうです。でも、僕の胸腺は残っていたのです。

 その5年前に髄膜炎になったとき、胸にがんがあると思ったら胸腺だとわかって安堵していたら髄膜炎が治るのと一緒に胸腺がすべて消えたという経緯がありました。だから、脳梗塞に胸腺が関係していたのは意外でした。髄膜炎では胸腺が僕を救ってくれたけれど、そのかけらが巡り巡って脳の血管を詰まらせたということのようです。

■自分に腹が立って何度も涙が出た

 記憶がはっきりし始めたのは18年11月です。時計が読めたことをはっきり覚えていて、その辺りから自分を少しずつ取り戻し始めました。ただ、退院してもしばらくは本が読めませんでした。長い文章は黒い塊に見えて、映画の字幕も文字が図形のようでわからない。友人と食事に行っても、何を話しているのか言葉が頭に入ってこないのです。今はだいぶ良くなって、原稿チェックもできるくらいになりました(笑い)。

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