インドから東南アジアにB型が多いのはコレラが原因だった
コレラと血液型の研究は1970年代に始まり、当初からO型が重症化しやすいことが指摘されてきました。決定的だったのは、91年にペルーで起きた流行です。このとき、69世帯463人を対象に血液型と重症化の関係が調べられ、O型は非O型と比べて入院リスクが8倍も高いことが示されました。また別の研究では、O型はコレラトキシンに対するワクチンも効きにくいことが明らかにされています。
O型が重症化しやすい理由については、分子レベルで解明が進んでいます。腸の粘膜細胞には、血液型を決める物質(血液型糖鎖)がびっしりと植わっているのですが、コレラトキシンはO型物質を発現している細胞(つまりO型の人の腸管細胞)に、より強く作用することが証明されています。
つまりインドから東南アジアの地域では、昔からマラリア、天然痘、コレラのせめぎ合いが続いてきたため、まずA型とAB型が淘汰され、O型とB型が拮抗するようになったと考えられるわけです。このように血液型の分布には、それぞれの地域の感染症の歴史が刻まれているのです。