世界初の「がん悪液質の薬」はどんな効果を上げているのか?

公開日: 更新日:

 医療技術は日進月歩。2年余りの新型コロナ禍でもがん治療は大きく進歩した。そのひとつとして注目されているのが昨年4月に発売された世界初のがん悪液質治療薬「エドルミズ」(一般名アナモレリン塩酸塩)だ。がん患者の生活の質(QOL)を維持・改善するのに重要な役割を果たす「がんサポーティブケア」(支持療法)の治療薬だが、どのような効果が出ているのか? 「江戸川病院」(東京都江戸川区)の放射線科の黒崎弘正部長に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 がん悪液質とは、がんに伴う体重減少や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群のこと。進行がん患者の80%以上に認められ、体重減少や食欲不振といった典型的な症状以外に、抗がん剤などの効果の減弱、副作用や治療中断の増加、生存率にも影響を及ぼす。がんを患うと見る影もなくげっそりやせるのはこのためだ。しかし、これまでがん悪液質の治療薬はなかった。

「そもそもなぜがんになるとがん悪液質ができるのかというと、がん細胞とそれに対する生体反応として、正常細胞から炎症性サイトカインが大量に分泌されるからです。それが慢性的な炎症と代謝異常を引き起こし、骨格筋の減少を伴う体重減少と食欲不振を招きます。その結果、急激に体力や免疫力が低下し衰弱していきます。だからこそ、がん患者に対しては早期にがん悪液質治療を開始することが重要なのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  4. 4

    広末涼子は免許証不所持で事故?→看護師暴行で芸能活動自粛…そのときW不倫騒動の鳥羽周作氏は

  5. 5

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  1. 6

    【い】井上忠夫(いのうえ・ただお)

  2. 7

    広末涼子“密着番組”を放送したフジテレビの間の悪さ…《怖いものなし》の制作姿勢に厳しい声 

  3. 8

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  4. 9

    大阪万博は開幕直前でも課題山積なのに危機感ゼロ!「赤字は心配ない」豪語に漂う超楽観主義

  5. 10

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育