著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「お薬手帳」は安全な治療を続けるための重要な情報伝達ツール

公開日: 更新日:

 保険薬局や病院でクスリを処方されたとき、一緒に「お薬手帳」をもらったという方が多いのではないでしょうか。お薬手帳は、処方されたクスリの履歴の管理という目的だけでなく、さまざまな役割を持った重要なツールになります。

 お薬手帳の重要性が改めて認識されたきっかけがありました。それは、2011年3月に東日本大震災が発生したときのことです。とても甚大な災害で被災地の医療もまひしました。そのため、発災当初から全国から医療支援として多くの医療スタッフが被災地入りし、私も宮城県石巻市に行きました。

 ほとんどの方は着の身着のままでの避難を余儀なくされました。そのような状況でも、お薬手帳を持参して避難した人がとても多くいて、特に高齢者でその傾向が強かったのです。医療支援で避難所を訪れたとき、そのことに驚きました。同時に、地震や津波でクスリが紛失してしまっていても、お薬手帳の情報があったことで、ある程度はそれまでと同様のクスリをお渡しすることができたのです。つまり、お薬手帳は大規模災害時でもクスリによる治療を安全に継続するための極めて大事な情報伝達ツールとなるのです。

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