切除不能の「ステージ3肺がん」は最新の免疫放射線療法で根治へ
4人に3人は転移なし
日本では、ステージ3非小細胞肺がんの「5年生存率」は20~30%ほど。その標準治療が化学放射線治療だが、治療を終えると経過観察で打つ手がなく、治療終了から5年以内に40~50%に転移が見つかる。「5年生存率」の低さはそれゆえだが、イミフィンジ投与でステージ3非小細胞肺がんの治療は一変したといえる。イミフィンジは最長1年間、投与する。そうすると、約43%の患者が5年経過時点で生存していることをPACIFIC試験は示している。しかもこれらの患者のうち4分の3は、病状が進行していなかった。つまり、転移もないのだ。従来の化学放射線療法で20~30%だった「5年生存率」と比べると、その差は歴然だろう。
「PACIFIC試験の結果を受け、手術ができないステージ3の非小細胞肺がんにおいては、化学放射線治療にイミフィンジを加えた治療が、標準治療となりつつあります。イミフィンジの登場で、かなり根治を目指せるようになったといっていいでしょう」
肺がんに適応のある免疫チェックポイント阻害剤は、イミフィンジのほかにオプジーボ、キイトルーダ、テセントリク(一般名アテゾリズマブ)の3つ。この3つはいずれもステージ4の「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を対象とする。イミフィンジとは適応のステージが異なるように、治療の意味合いがまったく違うのだ。