切除不能の「ステージ3肺がん」は最新の免疫放射線療法で根治へ
5年全生存率は42.9%
「世界的に注目を集めたのが、イミフィンジの第Ⅲ相臨床試験『PACIFIC試験』です。この試験で対象としたのは、手術ができないステージ3の局所進行非小細胞肺がんの患者さん。局所進行とは、心臓の周りの縦隔リンパ節の転移はあるものの、ほかの臓器への転移はない状態で、まず抗がん剤と放射線を同時に行う化学放射線療法を行ってから、病状が進行していない713人を対象に、イミフィンジを投与するグループとプラセボを投与するグループを2対1で分けて追跡。その結果、2年後の中間解析では、無増悪生存期間の中央値はイミフィンジ投与グループが16.8カ月で、プラセボグループを11.2カ月も有意に上回ったのです」
中間解析での2年全生存率は66.3%。55.6%のプラセボグループに比べて有意に高く、死亡リスクは32%低いことが明らかになった。
この結果から注目されていたのが、5年間追跡した長期解析結果で、昨年、米国臨床腫瘍学会で公表された。その長期データによると、イミフィンジ投与の全生存期間中央値は47.5カ月に対し、プラセボグループは29.1カ月で、死亡リスクは28%減少した。5年全生存率は、イミフィンジ投与グループが42.9%で、33.4%のプラセボグループを有意に上回っている。