「高血圧」「心臓病」の人が歯科治療を受けるとき注意すべきポイント
■抗凝固薬を飲んでいる人は血が止まりにくい
心臓や血管の病気を抱えていたり、その予防のために「抗凝固薬」(ワーファリンなど)や「抗血小板薬」(バイアスピリンなど)を服用している人も、歯科治療の際は気をつけたい。いずれも血液をサラサラにして血栓の生成を防ぐことを目的として、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの予防や、心臓弁膜症で人工弁置換術を受けた人にも使われる。
「日頃からそれらの薬を服用している患者さんは、抜歯などの出血を伴う外科的な歯科治療で出血が止まらなくなるリスクがあります。そのため、かつては治療を実施する前に血液をサラサラにする薬を処方している担当医に確認し、一定期間だけ休薬してもらってから外科治療が行われていました。しかし、歯科治療のために休薬をしたことで心筋梗塞で死亡した事例や、抗凝固薬を中断すると1%が重篤な血栓塞栓症を発症するといったデータが報告され、休薬はリスクが高いことがわかりました。そのため、現在は休薬せずに止血を徹底する方向で外科治療が行われています」
抗凝固薬(主にワーファリン)を服用している人の外科的な歯科治療の際、目安にされるのが「PT-INR」の検査数値だ。血液の凝固因子の活性を総合的に判定する検査で、薬剤の投与量管理のための指標として用いられている。