難聴は認知症の大きなリスク 会話が聞き取りにくくなったら「人工内耳」も検討を
■日本では年間1000人以上が手術
愛媛大学医学部付属病院では年間30件ほどの人工内耳の装着手術を行っており、そのうち半数が1歳前後の小児だ。現在、日本では年間1000人以上の難聴者が人工内耳のインプラント手術を受けていて、その総数は1万3000人以上に上るとされている。
「ここ20年で人工内耳の適応を適切に診断し手術できる施設が増え、人工内耳が難聴に有効であるとの認識が医療者や国民に広まったことで、人工内耳の手術を受ける人が増加しています。しかし、欧米先進国に比べ日本は3分の1と、手術件数がまだまだ少ない現状です。自国メーカーを有するオーストラリアでは、日本の8倍の人が人工内耳の手術を受けています。日本製の人工内耳がないことが、国内で手術件数が増加しない一因になっていると考えられます」
手術時間はおよそ2~3時間で、入院期間は5~7日ほど。手術から1~3週間後にサウンドプロセッサーを装着し、初めて音が入るようになる。ただし、サウンドプロセッサーを装着したからといってすぐに言葉や音楽が聞こえるわけではなく、数カ月かけてリハビリテーションを行いながら、音に慣れていく必要があるという。