がんの診断・治療はゲノム医療と新世代コンピューターが個別化治療を実現する
周囲にある正常な細胞を傷つけずにがん細胞だけを攻撃する新たな治療は他にもある。ホウ素中性子捕捉療法だ。がん細胞に特定の元素(ホウ素)を取り込ませた後、中性子を照射することでがん細胞のみを障害するという。これまでは中性子を放出する機械が巨大になるため普及しなかった。しかし近年、小型加速器の開発が進み、今後はより多くの人にホウ素中性子捕捉療法が受けられるようになる。
「がんで失われた臓器や組織を再生する再生医療技術が進み、角膜、皮膚、軟骨だけでなく、いずれは腎臓や肝臓、心臓も再生できるようになるでしょう。がん患者はがんで亡くなるわけではなく、こうした重要臓器ががん細胞によって圧迫したり、機能を失ったりした結果として亡くなるわけで、臓器再生技術が進めばがんで亡くなる人の数はぐっと少なくなるでしょう」