著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「一言主義」で失われる正しい情報…わかりやすい真実なんてない

公開日: 更新日:

 マスクの有効性については、多くの研究で確認された事実だという意見も、マスクは無効であるという多くの研究があるという意見も、それぞれに正しく、それぞれに正しくないのである。

 現実に報告された研究結果は、そのように紋切り型に表現できるものではない。昨日もテレビをなんとなく見ていたら、「あなたの人生を一言で表すと」なんて質問を街行く人に投げかけている番組をやっていて、わかりやすい短いフレーズを好むのが今の流行なのだろう。実際に放送されるものは、何か気の利いた一言を言った人で、長々しゃべる人や、一言なんかで言えないよという人は取り上げられない。そういう世の中がある。

■「解釈」を「結論」にすり替えるな

 私の記事はまさにそういう後者にあたるもので、マスクの効果に対して、長々とあいまいなことを書き続けても、何を言っているのかわからないと言われるのが関の山で、「マスクの効果を一言で表すと」というような反応が世の中に好まれている。


 そうした一言を求める人たちに対してできるだけ短いフレーズで答えるならば、「マスクを着けるべきだという決定的な証拠も、着けなくていいという確実な証拠も現状ではないし、これからも出てこないかもしれない」ということだろうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース