認知症の行方不明者が増加中…どう対応すればいいのか?
認知症の方の行方不明件数が年々増加しているのはご存じでしょうか。警察庁によると、2022年の認知症による行方不明件数は1万8709人と過去最多を記録し、統計を開始した12年と比較して倍増しています。増加の背景には、近隣住民とのつながりが希薄になり、行方不明になっても気付かれにくいことが挙げられます。さらに、近年は核家族化が進んで「認認介護」と呼ばれる認知症の人が認知症のパートナーを介護しながら生活しているケースが少なくない。行方不明者届を出すのが遅れ、発見に時間がかかるといった問題もあるのです。
とりわけ注意したいのが、発症前の性格が活動的で行動範囲が広かった人です。認知症の方は、ただ外に出たいからというわけではなく、目的を持って外出します。かつて営業マンだった人であれば営業回りに行こうとスーツを着るなど、きちんとした身なりで出かけるので、周囲の人も認知症だとは到底気付きにくいのです。
以前、私が勤務する病院でも、脳卒中による高次脳機能障害で認知機能が低下した70代の患者さんが病棟からいなくなり、職員総出で捜索した経験があります。