慢性的な腰痛で悩んでいるなら…「痛み」の専門外来を受診する
同センターでは、まず問診、血液検査、レントゲン、CT、MRIを行い(明らかに不要な場合は省く検査もある)、治療戦略を立てる。臨床心理士や精神科の意見を取り入れることもある。
「かつて腰痛の85%は神経症状や基礎疾患がなく、画像検査で痛みの原因を特定しきれない──という調査結果があったくらい、原因がわからない腰痛が多く含まれます。それでも検査をするのは、見逃すと命に関わる病気や感染症がないかを調べる意味もあります」
あらゆる検査をしても原因が判明しない患者では、いったん原因追究は横に置き、痛みコントロールに注力する。
腰痛をはじめとする痛みは、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に大別できる。外傷などで患部に損傷が起こり、侵害受容器が活性化。信号が脊髄を通って脳に送られ、引き起こされる痛みが侵害受容性疼痛だ。
一方、神経障害性疼痛は、さまざまな原因で痛みを伝える神経が異常に興奮し起こる。
「侵害受容性疼痛では非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)が効きますが、神経障害性疼痛では効きが悪いです。神経障害性疼痛には、ガバペンチノイド、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬などの薬を使い、それで効き目が弱ければ弱オピオイド鎮痛薬、それでもダメなら症例によっては強オピオイド鎮痛薬を限定的に使います。侵害受容性疼痛か神経障害性疼痛のどちらの要素が強いのか、スクリーニングツールや薬物への反応でみていきます」