年内に手術をしてほしい…そう希望するがん患者の気持ちは理解できるが
■年末に白血病患者が紹介されてきたことを思い出す
私が現役の頃、スタッフが足りないのか、年末になって大学病院から急性白血病患者が紹介されてきたことを思い出します。病状から判断すると、治療開始を正月明けまで待つことはできません。正月中に白血球数がほとんどゼロとなれば、深刻です。発熱、口内出血など一般状態の確認、データの確認、輸血のオーダー等々……やることは山ほどあって大変でした。
毎日、病状は変わります。担当するスタッフは、年末年始だろうが毎日の出勤を余儀なくされます。それでも治療が効いて、寛解に入ってやっと緊張が解け、患者さんにも、担当医にも本当の正月がやってきました。
正月の間、入院していなければならない患者さんもたくさんおられます。もちろん、担当医ではなくとも、当番の医師が出勤します。
医療は、医師が中心とはいえ、たくさんのスタッフで成り立っています。患者さんに、「正月といっても、何かあればいつでも駆け付けますよ」と声をかけてくれていた医師を思い出します。患者さんの心の安心も大切です。
患者さんのための医療ですが、最近は、医療者の「働き方改革」という言葉を耳にします。しかし、現状のスタッフ、医師数では、医師の超過勤務時間を「自己研鑽の時間」と言い換えられてしまうのではないかと危惧しています。