認知症の親が施設入居を拒否するのはなぜか…具体的な促し方は?
軽度のアルツハイマー型認知症の70代男性は、「まだ自分は施設に入るほどボケていない」と施設入居を拒んでいました。同居する奥さまからある時、「体調を崩して入院が必要になり夫の介護が難しい」と相談を受けました。そこで、外来の際「○○さんはまだしっかりしていて施設に入る段階ではないけど、奥さんがしっかり休養できるよう施設に入るのはどうですか」と伝えたところ納得し、ショートステイを数回繰り返したのち施設への入居に至りました。
プライドが高く、自分が行く必要がないと思っている人であれば、自分のためではなく、家族のために協力してほしいと工夫した声掛けが有効です。
何度も入居を拒否されると家族は焦るでしょう。本人の抱える不安や思いをよくヒアリングし、寄り添った促し方を心掛けると、意外とスムーズに進むかもしれません。
▽來村昌紀(らいむら・まさき) 和歌山県立医科大学、千葉大学大学院卒業後、和歌山県立医科大学付属紀北分院脳神経外科助教、千葉中央メディカルセンター脳神経外科を経て、2014年らいむらクリニック開設。