新薬レカネマブは誰もが使えるわけではない…早期アルツハイマー病患者が対象
アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の承認が決まりました。
先週、本欄でお伝えした通り、レカネマブは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを除去する抗体医薬です。これまでは、約10カ月ほどで効果がなくなる薬しかなかったため、認知機能の低下を持続的に抑制する今回の新薬に大きな期待が集まっています。認知症の患者さん、もしくは認知症のご家族を持つ方の中には、レカネマブをぜひ使ってみたいと思っている方もいるかもしれません。
ただ、レカネマブは、アルツハイマー病の患者さん全てに使える薬ではありません。治験では、アルツハイマー病の前段階である軽度認知障害(MCI)と、アルツハイマー病の軽症患者を対象としており、これらの早期アルツハイマー病患者さんにおいて、薬の効果が期待できるとしています。
レカネマブをはじめとするアルツハイマー病の抗体医薬の投与は、早ければ早いほどいいのではないか──。それが、これまでの研究結果から考えられていることです。
レカネマブの治験では、アミロイドβを60%除去できた一方で、認知機能低下抑制の程度は27%、期間に置き換えると7カ月半というものでした。この結果だってすごいことなのですが、認知機能低下をもっと抑制するには、神経細胞が死滅し始める前にアミロイドβを除去すべき。
その見立てを証明するために現在、「プレクリニカル期」にレカネマブを投与するAHEAD研究という治験も実施されています。プレクリニカル期とは、認知機能は正常だけど、アミロイドβの蓄積が始まっている段階です。AHEAD研究では、アミロイドβの蓄積し始めの群と、アミロイドβの蓄積がしっかり確認される群の2つに分けて研究が行われており、結果がどうなるか、注目しています。