認知症患者の施設での金銭トラブルを防ぐために貴重品の管理はどうすべきか

公開日: 更新日:

 認知症が進行して在宅での介護が難しくなると、施設への入居を検討するケースが少なくないでしょう。そうした施設内で多いのが貴重品管理のトラブルです。認知症を発症すると、お金に対する執着が異常に強くなる方がよく見られます。背景には、「若い頃に経済的に厳しい環境で育った」「長い間1人暮らしをしていて金銭の管理を自分で行っていた」ことなどがあると考えられます。認知症の方がよく「お金を盗まれた」と訴えるのもお金への執着からくる妄想で、「物盗られ妄想」と呼ばれる認知症の症状のひとつです。介護士や家族など、顔を合わせる機会が多い人物を疑うのがこの症状の特徴です。

 トラブルを避けるために、認知症患者さんが多く入居する施設では、貴重品の持ち込みを完全に禁止している所が少なくありません。一方で、家族と職員でよく相談した上で現金の持ち込みを許可し、自由にお弁当やお菓子、飲み物を購入できる施設もあります。

 どうしても、そうした施設では貴重品トラブルが起こる可能性があると認識して、家族は対策しておきましょう。

 まず、認知症の方が「盗まれた」とパニック状態になっていたら、家族の人は否定せず、まずは本人の主張を傾聴しましょう。「一緒に捜そう」「必ず見つかるので大丈夫だよ」といった言葉がけを行うと、本人は安心して落ち着きます。疑われた家族は、イライラしてつい強い口調で「盗っていない」と否定したくなるでしょう。ですが、記憶障害により貴重品を置いた記憶自体がなくなっているので、まさか自分がどこかに置き忘れたと考えるのが難しいのです。強い態度で接するとさらに混乱して不安が増し、興奮して、時には介護者に暴力を振るうケースもときどき目にします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  2. 2

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  3. 3

    東野幸治とハライチが春の番組改編で大ピンチ…松本人志、中居正広のスキャンダルでトバッチリ

  4. 4

    元兵庫県議の死をめぐり虚偽情報拡散…立花孝志氏は名誉毀損で立件なるか?若狭勝弁護士が見解

  5. 5

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  1. 6

    綱とり出直しの琴桜に必要な「脱・頭でっかち」…初場所の足を引っ張ったのは考えすぎる悪い癖

  2. 7

    TBS「報道特集」が検証…立花孝志氏が流したデマと恫喝の実態

  3. 8

    文春訂正で中居正広ファン分裂! 「本人は無罪」vs「悪質性が強まった」で大激論

  4. 9

    中居正広トラブルへの関与を改めて否定も…フジテレビ“当該社員”に「緊急異動」発令で社員ザワめく

  5. 10

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋