「立ちんぼ」の一掃で梅毒の増加は抑えられるのか…新宿歌舞伎町で95人逮捕
こういうのは、性感染症の専門医で「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)の著者、「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長だ。
■SNSによる「パパ活」が背景に
今回の梅毒流行には「SNSを駆使したパパ活にも一因があるかもしれない」と、尾上院長は言う。パパ活とは女性たちが金銭的余裕のある男性たちと食事やデートをしてその対価としてお金をもらう活動のことで、ある種の愛人契約と疑似恋愛のはざまのような位置づけだった。パパ活というネーミングも父親におねだりする娘のような行動に似ていたからだ。しかし、いまのパパ活は売春の一形態であり、実態は「愛人のシェアリング」だという見方もある。
「いまは女性たちの側がSNSで自身の性の商品価値を高めるのに長けていて、お金のない若者がSNSを駆使して風俗に行く感覚で若い女性との出会いを求め、女性もそれに応じています。男性には愛人を1人で囲うだけの経済基盤がなく、1人の女性を複数の男性たちが囲っているようです。そのため、女性が梅毒に感染すると一気に感染者数が増えていく。問題は、このパパ活が都心の繁華街だけでなく地方都市に広がっていることです。親世代が経済的に困窮して子供たちの支援ができなくなっているうえ、子供たちを含めて社会全体で性行動のハードルが下がっている気がします。それは正しい性知識がないためで、いまは子供たちだけでなく、成人にも正しい性教育を行うことこそが、問題解決につながると考えています」