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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

男性乳がんのブラザー・コーンが抗がん剤のつらさを投稿…セルフチェックが欠かせない

公開日: 更新日:

「新しい抗がん剤の副作用が出始めました」

 自らのSNSにこう投稿したのは、歌手のブラザー・コーンさん(68)です。昨年8月にステージ2の乳がんであることを公表してから治療に専念。新しい薬の副作用がつらいようです。

 乳がんの罹患数は毎年、女性が10万人ほどで、男性は700人程度。女性の150分の1とまれながんですが、男性もじわじわと増える傾向にあります。

 コーンさんは左胸のしこりに気づいたことが受診に結びつき、早期発見になりました。

 読者の皆さんはなぜ男性に? そう思われるでしょうが、実は、乳がんを起こす乳腺は、性別に関係なく胎児のときにできます。生まれてから女性は女性ホルモンの影響で発達しますが、男性は発達しません。それでもごく一部の乳腺が乳頭の周辺に残っていて、そこから男性も乳がんになるのです。

 男性の乳がんは遺伝の影響が強く、性別を問わず家系に乳がん患者がいると、いない人に比べて発症リスクが2倍。特に乳がんや卵巣がんの原因遺伝子のひとつ「BRCA2」に変異がある男性は、ない男性に比べて80倍と圧倒的です。この遺伝子変異があると、前立腺がんやすい臓がんのリスクも高いことがわかっています。

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