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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

男性乳がんのブラザー・コーンが抗がん剤のつらさを投稿…セルフチェックが欠かせない

公開日: 更新日:

 こうした特徴があるため、近親者に乳がんの患者がいる男性は、要注意です。なるべく早く見つけるには、入浴時など鏡で胸をチェックすることをお勧めします。ポイントは、左右の違いです。

 前述した通り男性の乳腺組織は乳頭周辺ですから、乳頭からの出血や分泌物の有無を確認するのがひとつ。もうひとつは、その周辺の皮膚の変色や大きさの確認です。運動すると、Tシャツと乳首がこすれて出血したり、炎症で変色したりすることがありますが、そういうことがないのに、このような症状が見られたら、放置するのはよくありません。

 男性の乳腺は、女性より小さいため、万が一、腫瘍ができた方は、もう一方より大きくなり、左右差が見られます。鏡でのチェックが重要なゆえんです。

 3つ目は、胸や脇のシコリの確認を。特に乳頭の真下のシコリは痛みがなくても、男性乳がんの特徴といわれ、コーンさんはこれが早期発見のキッカケでした。

 治療は、女性と同じでステージに応じて、手術や放射線、抗がん剤、ホルモン療法などを選択します。抗がん剤の副作用は大変ですが、治療成績に男女差はなく、早期なら完治が見込めるため、その点でも近親者に乳がんの人がいる男性は、女性のような検診がないだけにセルフチェックが欠かせません。

 男性にとって、女性ばかりの乳腺外来を受診するのは恥ずかしいでしょう。しかし、異変を感じたときは、恥ずかしさで受診をためらうより、きちんと受診しましょう。コーンさんも、抗がん剤のつらさに耐えながら頑張っていますから。

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