年間22万人が摂食障害で受診…急増する「過食症」は薬で改善できる
国立精神・神経医療研究センターの報告によると、「摂食障害」で医療機関を受診している人の数は年間22万人に上る。中でも近年、公表する芸能人も増えた「過食症」はQOL(生活の質)を大きく低下させる。「ストレスケア日比谷クリニック」院長の酒井和夫氏に聞いた。
摂食障害は、食行動を中心に心身に問題が現れる疾患の総称だ。体重増加を過度に気にして食事の量を極端に減らす「神経性痩せ症(拒食症)」と、衝動的なむちゃ食い(過食)と嘔吐や下剤で排出を繰り返す「神経性過食症(過食症)」に分けられる。
中でも近年、患者数が増加しているのが後者だ。ダイエットの成功体験がトリガーになりやすいという。
「ダイエットで脳が栄養不足になると、脳内の食欲の中枢が飢餓状態に近づいていると判断し、餓死しないよう強い食欲を生じさせます。それにより過食をすると、血糖値が急上昇し脳内に快楽物質が分泌され、報酬系を刺激します。さらに過食症の方は過食による体重増加を避けようと自分で嘔吐をするケースが多いのですが、この吐き出す行為も快楽を感じやすい。こういった報酬系の回路が一度完成してしまうと、過食嘔吐をやめたくても自分の意思ではコントロールできなくなり、数十年も抜け出せなくなるのです」