アニメやマンガだけに惹かれる…「一次感情不全」に多い言動
「感情不全」では、本音の気持ちを押し殺し、感情の感度低下が生じるという話をこれまで繰り返ししてきましたが、この感情は専門的には「一次感情(情動)」と呼ばれます。これは人が生まれながらにして持つ素の感情です。具体的には「うれしい」「悲しい」「怖い」「怒り」といった、犬や猫などの動物にも共通の喜怒哀楽といった原始的な感情です。一次感情は、英語ではエモーションと呼ばれ、いわゆる生物が生きていくために必要な行動(モーション)を具現化(エ)させるために、自らの体を駆動させるエネルギーを生み出すものという語源を有する、文字通りの本能的な感情です。
この一次感情は食欲や性欲などの本能的欲望と一緒で、満たされずに我慢し続けていると非常に苦しい渇望感を生じる一方で、満たされて気が済むときれいさっぱり消える、つまりその役割を果たせば消退する、という習性を持っています。失恋後に大泣きしていたかと思っていた方が、数日後にはケロッとした顔をしてゲンキンにも別の新たなパートナーとよろしくやっていたり……。といったように、たとえばどんなにつらい悲しみであっても、しっかりと感じ切ると、やがてそれは時間と共に消退していくというように一次感情はできています。怖かったお化け屋敷も一度恐怖のピークを経験すれば、もうなんとも思わなくなるのも同様です。