親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10原則~⑦
現在のパニック症やPTSDの治療では、基本は、回避しているネガティブな感情に向き合い慣らしていく「認知行動療法」が効果的な治療とされています。しかし、あまりにも傷ついてしまった繊細な方や、感情を感じるのが苦手な発達障害の方の中には、マイナスな話をしただけで頭の中が真っ白でわけがわからなくなってしまう「解離」という感情不全の状態を生じ、ネガティブなことは話すらできずカウンセリングにならない、というケースもあります。
こういった場合でも、ポジティブな話題を共有することで心が温まってくると、自然とマイナスな感情を感じられるようになり、ネガティブな話題が可能になるといったカウンセリング上のテクニックもあるほどです。心を閉ざしたお子さんには、一緒にプラス感情を共有し、それを深めるところから始めることは理にかなった方法なのだと覚えておきたいものです。(つづく)
▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。