耳掃除には要注意! 耳の中がカビだらけになる「外耳道真菌症」の危険あり
「表在型であれば、抗真菌薬の外用薬で治療を行います。ただ耳の中は自分では見えないうえに、綿棒で薬を塗ろうとして奥まで差し込むと外耳道や鼓膜が傷つく恐れがあるので、定期的に通院して病院で塗布してもらう必要があります。浸潤型の場合には、抗真菌薬であるイトラコナゾール、ボリコナゾールなどの内服や、場合によっては点滴で治療します。ただワルファリンなどの抗血栓薬やいくつかの心臓、高脂血症、糖尿病、精神、神経疾患などの薬を飲んでいると抗真菌薬を使えなかったり、注意して使う必要があるので、服用中の薬がある方は医師や薬剤師に必ず伝えてください。両者ともに、早ければ1~2週間ほどで症状の改善が実感できます」
耳掃除の習慣も見直したい。綿棒がかゆいところに届くと気持ちよく、日課になっている人も少なくないだろう。
ただ、耳鼻科医の間では耳掃除は基本的に必要のない行為と考えられ、海外で販売されている綿棒のパッケージには、耳掃除への使用を控えるよう記載されている商品もあるという。
「耳垢にはカサカサした『乾型』と、ベタベタした『湿型』があり、日本人の約7割は乾型とされています。何もしなくても自然と体外に排出される仕組みになっているので、本来、耳掃除をする必要はないのです。ただ、粘り気がある耳垢は自然な排出は難しい。外耳道を傷つけたり、耳垢を奥へ押し込まないためにも無理に綿棒で取り除こうとせず、耳鼻科で処置してもらってください」
吉田氏によると、耳たぶを後方に引っ張って痛みがあれば外耳道真菌症に限らず、外耳道に何かしらの炎症が起きているサインだという。耳の違和感が続いたら、迷わず専門医を受診することだ。