熟睡のためのエアコン使用法「3つの誤り」を正す この夏も災害級の暑さに

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 日本列島は、最高気温が35度以上になる猛暑日が続いている。7日は、全国914観測地点のうち今年最多の244地点で、30度以上の真夏日は612地点に上った。中でも静岡は体温を超える40度を記録した。昨年に続く災害級の暑さで困るのが、寝苦しさによる睡眠不足だろう。暑さに負けず、グッスリ眠るにはどうするか。

  ◇  ◇  ◇

「6日の夜はエアコンをつけて眠ったのですが、寒くなったのか、知らずにスイッチを消していたようで最悪な目覚めでした。夢の中では、自分が棺桶に閉じ込められて、メラメラと燃やされている最中なんです。あんなにひどい夢は、58年生きてきて初めて。あまりの寝室の“熱さ”に体が悲鳴をあげていたのでしょうね。寝汗でパンツもシーツもビチャビチャでした」

 疲れ切った顔でこう語るのは、イラストレーターの太田由紀氏。本紙週末特別版で好評のサウナコラムを担当し、100度超えの鬼熱もヘッチャラでこなすが、エアコンが切れた自宅の熱帯夜はお手上げ状態だった。夢の中のこととはいえ、“棺桶級の熱さ”はシャレにならない。

 そんな災害級の暑さを克服して快適に過ごすためのアイテムが、エアコンだ。日本はもちろん世界中で生活に根差していて、還暦間近の太田氏も使用している。熱帯夜の安眠にも当然、欠かせない。しかし、だれもが当たり前のように利用するエアコンは、使い方を誤っていることが少なくないという。

 そこで夏の安眠対策について、明陵クリニック院長の吉竹弘行氏に詳しく聞いた。

■つけっぱなしが正解。タイマーは最低4時間

 まずエアコンの使い方を誤っているとは、どういうことなのか。

「エアコンをつけっぱなし運転かタイマー運転かでいうと、深い眠りを得るには朝までつけっぱなし運転が正解です。設定温度は、クールビズで推奨される28度くらいでよく、下げ過ぎは体を冷やし過ぎるのでよくありません。私の患者さんにも口酸っぱく説明するのですが、タイマー運転でベッドに入り、タイマーが切れると、暑さで目が覚め、もう一度、エアコンをつける、という細切れ睡眠で熟睡が妨げられていることがあります」

 ダイキン工業は20~60代の男女530人を対象に「熱帯夜の睡眠時の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査」を実施。その結果を今月5日に発表した。それによると、熱帯夜の睡眠時にエアコンを使用するのは約82%。

 そのうち「つけっぱなし運転」は46%で、「タイマー運転」は44%だった。ほぼ拮抗する結果で、酷暑の睡眠時には不適切な「タイマー運転」も半数近い。

 このところ原材料高の影響などで電気料金は全国的に値上がり傾向だ。やむを得ず「タイマー運転」にしている人もいるだろうが、それでも設定時間が短い傾向があるという。これが2つ目の誤りだ。

「熱帯夜は寝つきが悪くなるので、『入眠のタイミングだけ快適な温度ならいい』と考えて、ベッドに入ってから1~2時間後にタイマーでエアコンを切る設定にしている方がいますが、これでは短過ぎます。タイマーでエアコンの運転を管理する場合、最低でも4時間は連続使用しないと、熟睡は得られないという報告もあるのです」

 記者の周りでエアコンの使用状況を聞いてみると、“タイマー派”はほとんどが1~2時間でスイッチが切れる設定だった。「4時間以上つけっぱなしだったら、6時間睡眠のオレにとってつけっぱなしとほぼ同じ。タイマーで電気代を節約する意味がない」(50代男性)という解釈は、節電する上では理にかなっているが、こと熱帯夜にエアコンを使いながら熟睡するという点では誤りなのだ。

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