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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

夏の抗がん剤治療は免疫低下による「食中毒」に注意する

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 なぜかというと、抗がん剤治療を受けると、副作用で骨髄機能が低下するため、白血球の数が減少しやすい。中でも好中球の減少です。好中球は白血球全体の45~75%を占めるとされ、免疫の主力のひとつ。その働きは、細菌や真菌を貪食して分解することで感染症から身を守ることです。好中球の減少は免疫力の低下を意味します。

 免疫力が減少すると、ふだんは大したことない病気が悪化することもあり、風邪も侮れません。外出後や食事前などの手洗いとうがいは必須。口の中の清潔も重要で歯ブラシや歯間ブラシもお勧めですが、やり過ぎで口の中を傷つけるのは逆効果ですから、ブラシなどはやわらかめのものを選ぶことです。

 そして、食中毒対策として生ものは避けるのが無難。先日、90代の女性がウナギ弁当を食べて亡くなったことが報じられました。弁当を食べた130人以上が下痢や嘔吐などを訴え、調査の結果、黄色ブドウ球菌が検出されたそうです。女性は持病があり、細菌と死亡との因果関係は不明ですが、夏は食中毒が増える時季ですから要注意です。

 抗がん剤投与から約1週間後~10日後にかけて好中球が減少。約10日後~2週間後が最も危険な時期です。白血球の数は約3週間後から回復し始め、それに伴って免疫力も少しずつ回復します。抗がん剤の治療中、治療後はしばらく自己管理を徹底してください。

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