【ギラン・バレー症候群】食中毒の原因菌によるものが30%を占める
感染症の後に起こる「ギラン・バレー症候群」をご存じでしょうか。毎年10万人あたり1~2人の割合で発症するまれな病気で、男女を問わず、また世界のどの地域でも同程度の罹患率とされています。
ギラン・バレー症候群は、本来なら自分の体を守る役割を担う免疫機能がおかしくなり、自身の手足の神経を攻撃してしまうことで起こる病気です。主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手足の力が入りにくくなったり、しびれ感がみられます。重症の場合、呼吸不全となり一時的に気管切開や人工呼吸器が必要となるケースもあります。
ギラン・バレー症候群の3分の2は発症前に感染症が認められます。たとえば、カンピロバクターは食中毒の原因菌として知られていますが、ギラン・バレー症候群の約30%はカンピロバクターによるものとされているのです。また、10%はサイトメガロウイルスが原因とされています。いたるところに存在し、健常者なら感染しても問題ないウイルスです。
もっとも、カンピロバクターやサイトメガロウイルスに感染したからといって、多くの患者さんがギラン・バレー症候群を発症するわけではありません。ギラン・バレー症候群になる確率は、カンピロバクター感染1000回につき0.25~0.65例、サイトメガロウイルス感染1000回につき0.6~2.2例くらいといわれています。