前頭側頭型認知症のリハビリではスケジュールが重要なのはなぜか?
認知症の中等症リハでは、施設でも自宅でも、1日単位のスケジュールと1週間単位のスケジュールをきちんと決めることが大切だと前回お話ししました。決まった時間にどこに行くのか、何をするのかといったスケジュールが決まっていると、「今日やることがある=自分の役割がある」といった自己効力感を維持することにつながり、不安の軽減や認知機能低下の進行を抑制するのです。
中でも、「前頭側頭型認知症」の患者さんは、本人の中で「決まった時間に決まった行動をする」という特徴があり、本人の生活パターンを考慮せず無理にリハビリをやらせようとすると、トラブルが起こります。そのため、その患者さんはいつどんな行動をするのかを把握したうえで、その行為をリハビリに組み込まなければうまくいかないのです。
一口に認知症といっても、いくつか種類があります。脳の変性による認知症には、70%を占めるアルツハイマー型認知症以外にも、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症などが挙げられます。記憶障害が生じる点は共通していますが、ほかに現れやすい症状が異なるため、それぞれに応じた治療とリハビリが必要になります。今回は前頭側頭型認知症についてお話しします。