長寿研究のいまを知る(11)やせる2型糖尿病薬と長寿との関係…抗がん剤より副作用が少ない

公開日: 更新日:

 結果は、SGLT2阻害薬群の方が蓄積した老化細胞が減少し、肥満による内臓脂肪の炎症や糖代謝異常、インスリン抵抗性が改善するという、インスリン群には見られない特有の結果が得られた。つまり、SGLT2阻害薬には血糖改善とは別の作用があるということだ。

■カギは細胞内の燃料メーター「AMPK」

 研究チームは、さらに細胞内の代謝によって作られた低分子化学物質を調べたところ、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を活性化するAICARと呼ばれる代謝物が増加したことがわかったという。

 AMPKは細胞内でエネルギーが足りなくなると、それを察知してエネルギー産生に関わる酵素のスイッチをオンにする作用があり、燃料センサーとも呼ばれている。

 さまざまな実験から、SGLT2阻害薬の老化細胞除去効果にはAMPKの活性化が重要で、とくに悪性度の高い老化細胞ではその発現レベルが上昇する免疫チェックポイント分子(PD-L1)の抑制が重要であり、それが老化細胞除去を促進することがわかっている。また、SGLT2阻害薬の投与は、高コレステロール血症によって形成された動脈硬化巣から老化細胞を除去することで、動脈硬化プラークの縮小を促進したという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 2

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 3

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  4. 4

    楽天・田中将大は今や球団の「厄介者」…大幅負け越し&パワハラ関与疑惑に年俸2億円超ダウン

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  2. 7

    楽天・田中将大に囁かれていた「移籍説」…実力も素行も問題視されるレジェンドの哀れ

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    エースの留年が影響か?昨夏王者・慶応まさかの県大会16強敗退…文武両道に特別扱い一切なし

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇