依存症の人が見えている世界(4)「もうやってないよね?」の声かけは逆効果

公開日: 更新日:

 自覚がなく、感情で制御できる病気ではないため、依存症治療は難しい。医師に相談することを躊躇してはいけない。

「『専門家に相談していることが会社にバレたら』などと悩まれる方もいるのですが、悩むのは“相談後”にしてほしい。依存症は、専門家でも『どうやるとうまくいく』は分かりません。しかし、『どうやるとうまくいかないか』についてはたくさんの知見を持っています」

 家族を含む周囲にいる人も同様だ。依存症の当事者に対し、やってはいけないことを知る。その最たるものが、「不安を助長するような言葉をかける」。

「『次にやったら離婚する』などの脅し、『もうやってないよね』といった確認、『あのときは大変だった』といった過去の蒸し返しはNGです。『このまま頑張ってね』などハッパをかけるような言葉も逆効果です。本人はマインドを変えようと前を向こうとしているのに、後ろを振り返らせるような言葉をかけてはいけない。依存症の治療とは、マインドや環境を変えることなのです」

 知れば知るほど奥が深い依存症の世界。理解があるかないかで雲泥の差となりそうだ。 =おわり

▽山下悠毅(やました・ゆうき) 精神科専門医・精神保健指定医。日本外来精神医療学会理事。近著に「彼らが見ている世界がわかる 依存症の人が『変わる』接し方」。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  2. 2

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 3

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    悠仁さんの成人会見は秋篠宮家の数々の危機をいっぺんに救った

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  2. 7

    志村けんさん急死から4年で関係者が激白…結婚を考えた40歳以上年下“最後の女性”の存在

  3. 8

    備蓄米放出でもコメ価格は高止まり…怪しくなってきた農水省の「実態把握」

  4. 9

    日テレ「さよなら帝国劇場」でわかったテレビ軽視…劇場の階段から放送、伴奏は電子ピアノのみ

  5. 10

    フジテレビ「Live News イット!」が大苦戦中…上垣皓太朗アナが切り札となるか