新型コロナで話題に…「嗅覚障害」を早期発見・治療すべき7つの理由
一方で嗅覚が過敏な人は注意欠陥多動性障害(ADHD)とアスペルガー症(ASD)にも関係するといわれている。
「ヒトはにおいを3段階で感じます。第1ににおいの分子が鼻粘膜に付着し、嗅細胞でその化学情報を電気信号に変換する段階。第2に嗅神経と嗅球を介して直接大脳辺縁系ににおいの電気信号を送る段階。最後に大脳辺縁系にある嗅覚野でにおいを認識する段階です」
大脳辺縁系は記憶をつかさどる「海馬」や感情をつかさどる「扁桃体」が含まれる。そのためにおいは記憶や感情と結びつきやすい。特定の香りを嗅ぐと、過去の出来事やその時の感情が鮮明によみがえるのはそのためだ。
嗅覚は加齢により機能低下するが、自覚する人は少ない。
「嗅神経は成熟後も再生を繰り返す特異な神経細胞ですが、加齢によりその再生能力が低下し、嗅覚も徐々に衰えます。視覚や聴覚ほど生活に直接支障を生じないため気づきにくいのです」
しかも、医師であっても「嗅神経は再生する特異な神経」であることを知らず、「嗅覚障害は治らないので見つけない」ケースがあるという。