能登半島地震 震源の活断層を誰も知らなかった衝撃 「未知の活断層は列島に3万本」と専門家
活断層の推測数は「わからない」と国土地理院
国土地理院の公表資料でも、現在、2000以上の活断層が見つかっているとしながら、「地下に隠れていて地表に現れていない活断層もたくさんあります」と明記している。国土地理院に見つかっていない活断層の推測数を聞いたが、「わかりません」(地理情報処理課)と答えた。
「政府が“活断層2000以上”と発表することで、リスクが小さく見えてしまっています。政府が示す活断層上から外れた住居を『安全だ』と勘違いする人までいる。最悪の事態を想定する必要がある災害リスクマネジメントの観点からはマズい状況です。今回の政府が知らなかった活断層が引き起こした能登半島地震は、リスクの過小評価を改める好機と捉えるべきです」(高橋学氏)
活断層の研究者は多くなく、発見される活断層の多寡は、その地域の研究者数による面もあるというから、お粗末な研究体制だ。
「地面を掘って足で稼ぐ地道な調査に加えて、人工衛星を使った最先端の調査法も活用すべきです。すでに実用化されており、木や建物など障害物があっても、地下の断層の様子が分かります。まだ、精度が低く、大きな活断層しか見つけられませんが、政府としても、力を入れるべき分野だと思います」(高橋学氏)
活断層がズレ動いて地震は生じるが、地震により、新たな活断層ができる。人工衛星による調査なら、タイムリーに地下の活断層が分かる可能性がある。
3万以上の未知の活断層は手ごわいが、地道な調査と最新のテクノロジーで乗り越えるしかない。能登半島地震の教訓は生かされるのか。