忍者修行に行ってみた(前編)「エイッ、ヤッ、トー、ハッ」の気合が大事…まずは「肚」を鍛えよ
「忍者」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。暗殺者やスパイ、泥棒……。忍者の教えを現代に継承する忍道の習志野青龍窟師範(35)は「『忍者とはこうだ!』とバシッとひと言で表せればいいんですけど」と苦笑する。鍛錬を積めば誰でも忍者になれるのか。螺旋丸を撃てるのか。尽きぬ疑問を抱えた日刊ゲンダイ記者は習志野師範が主宰する忍道稽古に参加した。【全2回の前編】
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「まずは『九字切り』から始めましょう」
聞き慣れぬ言葉に戸惑いつつ始まったのは、発声練習も兼ねた九字法。「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の九字を上級者は1字ごとに両手で印を結びながら、初級者は目の前に格子を描くように右手人さし指と中指の2本で宙を切りながら発声する稽古だ。
人前でシラフで大声を出す機会なぞ、野球部に所属していた高校生のころ以来である。その日の稽古に参加した生徒2人と習志野師範を前に堂々と九字を切ったつもりが、まったく声が出ている気がしない。己の未熟さを痛感した。
日刊ゲンダイ記者が出だしでつまずいた忍者修行は、東京・JR中野駅から徒歩10分の距離にある空手道場で月2回開かれているもの。ほかに板橋でも月2回稽古しているという。
そもそも「忍道」とは何か。立ち上げたのは、忍者を日本の文化遺産として世界に発信するために自治体や大学、観光協会などが参画して結成した「日本忍者協議会」。現代の「最後の忍者」と呼ばれる甲賀流伴党21代宗家の川上仁一氏や三重大の山田雄司教授(人文学)、歴史学者の磯田道史氏が顧問を務めている。
「『忍道』という言葉自体は古く、江戸初期の伝承に出てきます。ざっくり言えば、我々の言う『忍道』は江戸時代以前の忍術を資料に基づいて研究し、実技を通じて身体も鍛錬することでしょうか」(習志野師範)