著者のコラム一覧
姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

飛騨高山の宿85軒のうち70軒が市外から…新参入が生む人手不足の連鎖と打撃

公開日: 更新日:

 インバウンドがもたらした打撃は従業員不足だ。ホテルフロント、住み込みバイト、調理スタッフ……。ネット上には宿泊関連の人材募集が山ほど出てくるが、「土日出勤」や「夜勤・早朝勤務」などの時間的制約でなかなか人手は集まらない。

 しかし、「東京などの大都市圏から参入してくる資本は、“東京相場の賃金”をいとも簡単に提示できてしまうのです」(高山市内の宿泊事業者)。これでは地元の小規模経営者は、とうてい太刀打ちできない。

 一方で、宿バブルを起因とする人手不足は高山市全域に深刻な影響を与えている。市街地から車で1時間ほど離れたエリアの高齢者施設の関係者はこう嘆く。

「新規開業のホテル勤務は時給が高いので、人材はそちらに取られてしまっています。こちらは、募集をかけても、応募はほとんどありません。高齢者や要介護者を受け入れるベッドはあっても、フル稼働ができない状態です」

 筆者が知り合った90歳の高齢者は、「受け入れ先がないので、この辺の年寄りは隣の富山県まで施設を探しにいかなければならんのです」と話す。飛騨山中に点在する集落には、そもそも都会のように豊かなリソースはない。インバウンドを起因とする人材不足は思わぬ波紋を呼んでいる。 (つづく)

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    阪神「老将の孤立無援化」の懸念…岡田監督に“勇退説”でコーチや選手もソッポの可能性

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    「24時間テレビ」に“旧ジャニーズ不要論”噴出…20年以上続いたメイン司会途絶えて視聴率回復の皮肉

  5. 5

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  1. 6

    巨人ドラフト戦略に異変…浅野翔吾が覚醒気配で1位は《右の大砲》から《鳥谷2世》に乗り換え

  2. 7

    「麻生派でも裏金作り」毎日新聞スクープの衝撃!党政治刷新本部座長の派閥議員は国会で虚偽答弁か

  3. 8

    松田聖子と神田正輝の心中は? 神田沙也加さん元恋人・前山剛久の俳優復帰宣言に浴びせられる非難

  4. 9

    自民党総裁選で蠢動する“生臭い”顔ぶれ…甘利、萩生田、菅が「復権作戦」を醜悪展開

  5. 10

    もはや「苦行」、「回数ごまかせる」の指摘も…24時間テレビ「やす子マラソン」強行に視聴者ドン引き