維新牙城の「大阪15選挙区」すらグラグラ…幹部の檄文は“けんもほろろ”、吉村府知事テコ入れに眼
27日に投開票が迫る衆院選で、公示前勢力を割り込むのではとささやかれる日本維新の会。共同代表を務める大阪府の吉村知事は不振を打破しようとシャカリキだ。
吉村知事は15日の公示後から公務そっちのけで関西を中心に街頭演説に繰り出し、ラストサンデーを挟んで22日から大阪府内にベタ付き。23日は6区の維新候補の応援に駆け付け、門真市内でマイクを握った。
現地を取材したジャーナリストの横田一氏が言う。
「吉村さんは『裏金・脱税は許さない!』と、かなり強い口調で自公政権を批判し、石破首相の変節ぶりもやり玉に挙げていました。兵庫県の斎藤前知事が告発された問題や大不評の大阪万博などが影響し、かつての勢いは感じられませんが、それでも黄色い歓声を送る根強い“吉村ファン”の姿も。演説終わりに吉村さんに質問をぶつけましたが、スルーされました。吉村さんに手を振っていたマダムは『あなたが質問を浴びせるから、手を振り返してくれなかったじゃないの』とご立腹の様子でした」
吉村知事の女性人気は健在らしいが、維新は牙城すらグラグラだ。政党や各メディアの情勢調査などを見ると、府内19選挙区のうち維新候補が安泰なのは幹部の地盤である12、15、17、18の4選挙区のみ(別表)。激戦が実に15選挙区にも上る。
維新は前回選まで、「大阪都構想」の実現に向けて公明党から協力を得る代わりに府内4選挙区(3、5、6、16)で独自候補の擁立を見送り、前回選は15選挙区で全勝。昨年の統一地方選での躍進を受け、公明との協力関係を解消し、今回は全面対決に打って出た。
府内を「維新一色」に染め上げようと画策しているものの、自民はもとより、「常勝関西」の強さを誇る公明だけではなく、立憲も立ちはだかる。10区で尾辻元衆院議員が維新候補を猛追、16区では森山前衆院議員が互角の戦いを演じている。
身内ドッチラケの檄文
予想以上の苦戦に、維新の藤田幹事長は全候補者に向けて「檄文」をメールで発信(18日付)。〈活動量を増やすとともに、比例の呼びかけの再徹底〉をお願いし、〈全員の必勝の為、最後まで余すことなく、全力で選挙活動を続けて頂くようお願いします〉と呼びかけた。
藤田氏のメールに、維新内部からは「こんなもん送っても惨敗は避けられない」と冷ややかな声が上がっているという。全国政党化なんて背伸びせず地域政党ぐらいがちょうどいいんじゃないか。
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維新の会創設者・松井一郎前代表が萩生田光一氏の応援に入った一件では内紛勃発。よりによって裏金2728万円の萩生田候補を応援するとは…。大荒れの維新内部について●関連記事『【もっと読む】松井前代表の要らんオトコ気「萩生田応援」で維新内紛…大阪以外は最大7勝、全国政党化は夢の夢』で詳報している。