シニアのワンちゃんネコちゃん「脾臓」の腫れは手術せずに点滴で治療できる可能性が
しかし、手術をしても予後がよくないタイプの腫瘍や、そもそもがんでないケースだと、年齢的に手術の負担の方が重くなるかもしれません。その見極めも大切で、その微妙な年齢が14、15歳くらいで、特にワンちゃんです。
4年前、当時14歳だったワンちゃんもそうでした。かなり脾臓が腫れていましたが、症状がないこともあり、選択したのは3日間の点滴です。
脾臓が腫れるようなときは血液がドロドロすることで、脾臓にたまりやすくなります。点滴はドロドロを薄めるイメージで、停滞していた脾臓への血流が高まると、脾臓にたまっていた血液が放出され、脾臓の腫れが緩和することも珍しくありません。結果、変わらず元気でした。
1年後に来られたときは、脾臓が大きい状態に加え、先端がいびつになっていました。このような画像も、血流がよくないと、よく見られますが、経過を知らない獣医師だと腫瘍を疑って手術を選択するかもしれませんが、このときも点滴でした。もちろん、悪化はなく、元気です。
今に続くまで脾臓は大きいままで、点滴をしながら元気をキープしています。このケースが決して特殊なわけではなく、シニアの脾腫のワンちゃんで手術をせずに元気なことはよくあるのです。シニアのワンちゃんの飼い主さんは、触診と超音波検査、そして点滴治療で対応できることを頭に入れておくとよいかもしれません。
(カーター動物病院・片岡重明院長)