お肌のシミはなぜできる?【美容外科医が解説】薬局で購入可能なおすすめの薬と美容クリニックの威力

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コクハク

お肌のシミはなぜできるの?

 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。美容医療11年目の美容外科医・増田えりかが「お肌のシミ」について解説いたします。

【「美容医療」お悩み一発回答!】

 年齢を重ねてもファッションやメイクを楽しむには、綺麗なお肌とお化粧のしやすさは必須ですよね。今回は、加齢に伴い増えてゆくお肌のシミとの向き合い方や、治療の一助となるようなアドバイスをしていきます。

  ◇  ◇  ◇

 お肌のシミはなぜできるのか。日光の紫外線は、体内にある大事な栄養素・ビタミンDを活性化させる一方で、浴びすぎると私たちのお肌の構造の老化を進行させる原因になってしまいます。

 紫外線には様々な種類の光が含まれますが、地上に届くのはUVAとUVBの2種類があり、波長の短いUVBは、エネルギーが強く、お肌に急激な刺激を与えます。肌表面の細胞を傷つけて炎症を起こすため、長時間の日光浴でお肌が赤くなったり、水膨れができたりするので、日常的に日焼け止めを塗る、日傘を使用するなどして少しでも防御することが重要となります。

 シミはメラニン細胞(メラノサイト)の活性が高まったことによるメラニン色素の増殖であり、紫外線により活性が高められてしまいます。いつまでもシミの少ないお肌でいるためには、防御するだけでなく、メラニン細胞が活性化しないような徹底した予防が大切なんですね。

 では、どんな予防が得策か。まず、メラニン色素の生成を抑えるトラネキサム酸が効果的だといわれています。最近では身近な薬局でも購入できる第一三共さんの「トランシーノ®」は、美容クリニックの一般的なシミ治療の際の処方量の半量ではあるものの、予防では十分に効果を発揮してくれますよ。


【こちらもどうぞ】眼瞼下垂を治したい! 美容外科界隈で「世紀の大発明」と呼ばれる手術とは?【目元の美容専門医師が解説】

「老人性色素斑」と「肝斑」の違い

 続いて基本のキとして、日光による「老人性色素斑」や、ホルモンバランスや摩擦によってできる「肝斑」という少々厄介なシミを理解していきましょう。

1. 老人性色素斑
 老人性色素斑はUVBによりシミの原因となるメラニン細胞が色素を増殖させていった結果です。一度発症してしまうと自然に薄くなることはほとんどないため、出来てしまったら、メラニン細胞の機嫌を取りながら(トラネキサム酸の内服をしながら)、医療機関でのみ取り扱いのある基礎化粧品や、塗り薬、光治療やレーザーで正しく治療するのが吉です。

【写真A】は65歳女性の患者様のお肌ですが、1回のシミ取りレーザーで2年後も綺麗な状態を保っています。治療費の目安は、直径1cmほどのシミで1つあたり10,000円~15,000円程度。施術後1週間は、軟膏の塗布とテーピングが必要となります。

 個人差がありますが、施術後1カ月ほどでシミが濃くなる場合(炎症後色素沈着)がありますが、3カ月ほどで徐々に薄くなりますのでご安心ください。

 炎症後色素沈着を軽くするには、トラネキサム酸の内服と遮光は続けましょう。

2. 肝斑
 肝斑は厄介なシミと前述しましたが、その理由は、原因が多岐にわたることと、治療が難航する場合があることが挙げられます。主な原因のひとつに「ホルモンバランス」があり、出産前に女性ホルモンが増加して乱れることによって、頬にシミが増えるケースがあります。これは肝斑であり、妊娠中は増えて、産後1年程度で自然に引いて行きます。

 ホルモンバランスに次いで「摩擦」も大きな原因のひとつです。ほっぺたの一番高い部分は洗顔やスキンケアの時など、日常的にも摩擦が加わりやすく、肝斑が現れやすい部位になります。形や色の特徴もあり、表皮層~真皮層と深い層までメラニン色素が増殖しているため、濃淡のある、ぼんやりとした境界の不明瞭なシミになります。紫外線を浴びると濃くなる特徴もあるので、遮光はマストで行いたいところです。

 主な治療方法はトラネキサム酸の内服と、ハイドロキノンなどお肌の漂白剤の塗布、クリニックに通院できるならレーザートーニングの治療が可能です。

 レーザートーニングとは、弱い出力でお顔全体に色素に反応するレーザーを当てる治療で、月1回×10回で1クール(一通りの治療)になるため、少々気合いが必要です。治療費用の目安は1回約10,000円~20,000円。

信頼のおける美容クリニックに通う!

 間違った診断により、老人性色素斑と同じ強さ(高い出力)でレーザーを照射されてしまったり、治療途中でも防御せず紫外線を浴びて摩擦の習慣を続けたり、トラネキサム酸の内服をしないなどで、逆に濃くなったケースも散見されます。一度治療すると決めたら信頼のおける美容クリニックの指示に従い、頑張りましょう…!

 老人性色素斑と肝斑のシミの違いについては、お肌のレーザー治療を扱うクリニックで、まずはしっかりと医師の診察を受けるが大切です。肌診断器で撮影することでより正確に診断が可能となりますよ。

肌の状態を分析する肌診断器「VISIA®」
 当院ではVISIA®を用いて、しわや毛穴の数などの細かい解析と、将来出てくるであろう肌の奥にあるメラニンの様子(隠れジミ)、大量のデータから分析したあなたのお肌年齢TruSkin Age®等をお伝えしています。

【写真B】の患者様は67歳ですが、当院でのしみ治療とスキンケア指導で、肌年齢は61歳の結果になりました。

 そして、お客様のお肌の状態等に合わせたスキンケア方法やおすすめの治療も一通りお話しています。(皮膚科初診料:2,200円)

 間違ったケアに進まないためにも、まずは気軽に美容クリニックで相談してみるのも一手かもしれません。

 

「イートップクリニック」院長/増田えりか
 2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

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