小型犬の「膝の皿の脱臼」は手術せずに済む可能性も…重要なのは生活スタイルの見直し
では、どうするか。成犬になるころに発症したケースや、成長するにつれて外れる頻度が増えるケースなどでは、手術を勧められることが多い。先天的な異常だと、ペット保険の対象外のことが多く、購入時の事前説明がないと、ペットショップなどと手術費用の補償をめぐってモメやすいことでも有名です。このタイプの脱臼は、重症度に応じて5段階に分かれます。まったく外れないグレード0から常に外れた状態のグレード4で、一般にはグレード2から手術が推奨されます。
ただし、私はグレード2や3でも、症状と生活スタイルによっては必ずしも手術は必要ないと考えています。重要なのは生活スタイルです。
散歩で野原やドッグランを走り回ったり、フリスビー犬の大会に出たりするタイプは手術がベターですが、都市部の小型犬なら通常は散歩程度でしょう。そんな生活なら、体重を増やさない、ジャンプをさせない、なるべく走らない、といった簡単なことを守るだけで、手術せずキープできることが珍しくありません。また、光線治療器による理学療法で緩んだ靱帯の収縮性を強めてお皿が外れにくい状態に戻すこともできます。