ニデック(上)TAKISAWAを“同意なきTOB” 永守重信会長は「M&Aの新たなモデルケースになる」
今回の同意なき買収が日本のM&A市場に一石を投じたことは間違いない。
永守氏が高値買いもいとわずに手に入れたTAKISAWAとは、どんな会社なのか。
岡山市に本社があり、創業100周年を迎えた22年に現社名に変更した。主力製品がCNC旋盤であるところが最大のポイントだ。旋盤とは、簡単に言ってしまえば材料を回して削る機械。円柱状の金属を削って、設計図通りの直径にする、といった工程で使われる。CNC旋盤は、旋盤をコンピューター制御で動かす。主に自動車メーカーで使われている。
TAKISAWAは19年3月期の310億円が売上高のピーク。営業利益の最高は07年3月期の38億円。24年3月期の売上高は前期比9%減の256億円、営業利益は同21%減の9億円の見込みだ。
22年5月に発表した中期経営計画によると、EV(電気自動車)関連に加え、建設や農業用機械、半導体製造装置など自動車以外の分野に活路を見いだそうとしている。中計の最終年度である25年3月期の目標は売上高310億円、営業利益25億円。足元の実績から見ると、かなり意欲的な数字である。
「中計は達成できそうにない。ニデックの傘下で再生に取り組むことになる」(機械業界のアナリスト)
ニデックはTAKISAWAの買収を大きなステップと位置づけ、世界のトップクラスの工作機械メーカーを目指すことになる。 =つづく