TOPPANホールディングス(上)業界のトップランナーが社名から「印刷」を外した理由
前述のようにTOPPANは日本印刷業界のトップランナーだ。にもかかわらず「印刷」の2文字を捨てた。そのこと自体が印刷業界の置かれた状況を雄弁に物語る。
日本の出版販売額のピークは1996年。この年、雑誌が1兆5633億円、書籍が1兆931億円、計2兆6564億円を売り上げた。しかしそこからは右肩下がり。昨年は雑誌4418億円、書籍6194億円(いずれも紙出版物)と市場規模は半分以下となった。
当然、書籍・雑誌印刷の需要も縮小する。かつて印刷会社にとって、書籍・雑誌印刷は最大の稼ぎ頭だった。営業部門の花形もこの分野で、担当者は出版社に張り付いて仕事を受注するだけでなく、時には編集作業も手伝っていた。
それが今では、花形営業はそれ以外の部門に移っている。
それを証明するのがセグメントごとの業績だ。
TOPPANは、情報コミュニケーション事業、生活・産業事業、エレクトロニクス事業の3つに分かれる。出版印刷も含まれる情報コミュニケーション事業は全売上高の53%を占める。これだけを見ると出版印刷がいまだに主力のように思える。しかし印刷業界全体で見ても、出版印刷比率は16%程度であり、それはTOPPANにも当てはまる。つまり出版印刷はすでにマイナー事業となりつつある。