グンゼ 佐口敏康社長(1)1896年創業「群是製絲」の社名に込められた思い
“イケオジパンツ”やTシャツ専用インナー「in.T(インティー)」といったユーザー目線で開発した下着が大ヒット中のグンゼ株式会社。明治29年の創業以来129年目を迎える同社は、樹脂加工技術によるペットボトルのラベルなどのプラスチックフィルム分野、繊維加工技術を生かした吸収性縫合糸・人工皮膚などのメディカル分野でも躍進を続ける老舗メーカーだ。
昨年4月にはプラスチックフィルムを製造する守山工場(滋賀県守山市)にサーキュラーファクトリー(資源循環型工場)を竣工。多彩な事業で「社会的利益と経済的利益を両立させるサステナブル経営」を掲げる17代目の司令塔が、2021年から代表取締役社長兼社長執行役員を務める佐口敏康氏(62)だ。
佐口氏の入社は1984年。グンゼの歴史はそこから90年近く遡る。
1896年、小学校の教師であった波多野鶴吉が京都府何鹿郡(現・綾部市)で創業した。鶴吉は江戸時代末期に大庄屋・羽室家の次男として生まれ、8歳で波多野家の養子となった。17歳で旧制京都中学に進み学問の道を志した後、さまざまな事業を手掛けては失敗し帰郷した。