ロシア戦で初披露も 日本女子バレー新戦術に「時代遅れ」の声
ロンドン五輪銅メダルのバレーボールの全日本女子(世界ランク3位)は、リオ五輪では金メダルを狙う。そのために真鍋監督が考案したのが「ハイブリッド6」と命名された新戦術。この日のロシア(同6位)戦で披露された。
「いろんな選手にいろんなポジションをやってもらう」(真鍋監督)というこの戦術は、主にブロックを役目とするセンタープレーヤーを置かず、そこにアタッカーを置いて多彩な攻撃を仕掛けるもの。190センチ以上の選手がゴロゴロいる世界選手権2連覇中の相手にもとりあえず通用したから、試合後は「正直うれしいです。選手、スタッフはこの大会で新しい戦術に懸けている。この勝利は大きい」と胸を張った。
しかし、試合を観戦していたバレー関係者はこう語る。
「全員がレシーブしてトスも上げられて、スパイクも打つ。そういう考えは昔からあったのです。それが理想ですよ。でも、セッターは難しいし、守備が苦手な選手もいる。だから、ウイングスパイカーだ、セッターだ、ミドルブロッカーだと、ポジションを分けた。ポジションとは別の問題で、高さのある欧米の国々は、数十年前からレシーブを捨てて、ブロック強化に転換した。今ではアジアの国々でもそうです。日本はそれができない。なぜなら、日本の女子は64年の東京五輪で大松監督のスパルタ指導と回転レシーブで金メダルをとった。あの印象が強烈なんです。今も中学、高校の指導者はレシーブ練習に時間を割く。全日本だってそうです。これは時代遅れです。日本も昔に比べれば大型の選手が多くなってきたのですから、ブロックの強い選手を育てるべきです」
21日のロシア戦でも、日本のブロックポイント(BP)5に対し、ロシアは14。第4セットでは177センチの宮下がセンターブロッカーとして起用され、相手のスパイクをきれいに止めた。BPは相手に与えるダメージも大きい。奇策で話題を呼ぶより、やることは他にある。