錦織と全米オープン決勝争うチリッチ 「高速サーブ」進化の秘密
「198センチ(82キロ)もあるチリッチ選手のサーブは、これまでスピンがかかり過ぎて、体格のわりにスピードが足りませんでした。ところが、今年から現役時代に高速サーブを武器にしていた同じクロアチアのゴラン・イワニセビッチ氏の指導を受けてからフラット系に改善され、サーブがより強烈になったのです。錦織選手が勝機を見いだすには、相手の得意なサーブに対し、逆にリターンで攻めることです。もちろん錦織君のサーブも進化しています。勝負どころでサービスエースをしっかり取りたいですね」
では錦織に優勝はあるのか。「それはわかりませんが、今の錦織はどんな状況に置かれても冷静さを失うことはない」と言うのは、現地で取材しているテニスジャーナリストの塚越亘氏だ。
「現在の錦織選手は、あらゆる状況を想定しながらプレーしています。メンタル面で成長したため、ゲームの流れが相手に傾いていても決して焦りません。正直、ジョコビッチには通用しないのでは思っていましたが、準決勝第3セットのタイブレークで4ポイント先取しながらジリジリと5-4まで追い上げられたときも、実に冷静。これも今の錦織を象徴しています。チャンコーチから食事の時にも数々の体験談を聞いているため、心の引き出しも増えているのです。世界トップのジョコビッチさえも慌てさせ、ミスを誘うほど、今の錦織は、技術、体力、メンタル、発想力が充実していることは間違いありません」